見積依頼ガイド

CNC部品の初品検査(FAI):試作発注前に合意すべき書類と承認条件

CNC部品の見積依頼で決めるFAI書類、代表サンプル、バルーン図、測定結果、証明書、承認者と量産移行条件を解説します。

01

初品検査は発注条件の整理から始まります

初品検査(FAI)は、設計要求と、特定された製造工程で作った製品の適合を示す証拠を結び付けます。CNC部品の購買では、双方がサンプル検査に合意していても、数量、仕上げ状態、提出書類の認識が違う場合があります。一方は寸法表だけを想定し、もう一方は材料証明、処理記録、写真、継続生産前の承認まで求めているかもしれません。そのため、見積依頼の段階で範囲を決める必要があります。本記事では書類一式と承認待ちの条件を整理します。測定システムの評価や統計的な工程能力調査の方法は別のテーマです。

02

段取り後の初物確認と正式なFAIは同じではありません

段取り後の最初の製品確認は、加工を継続する前に機械、工具、プログラムを確認する運用上の管理です。正式なFAIは一般に、製品の構成、適用要求に対する証拠、製造工程との関連を含む、より広い範囲を扱います。AS9102は航空・宇宙・防衛分野向けに開発された規格であり、すべての機械部品注文に自動適用されるわけではありません。AS9102Cや顧客独自の様式が必要な場合は、契約で明示し、対応可否を確認します。FAIという名称からVietTechの航空分野の認証を推定したり、通常の寸法表だけを同規格への完全適合と表示したりしないことが大切です。

設計要求、代表サンプル、検査証拠、FAI承認判断を結び付ける日本語の図
イメージ図:要求、サンプル、証拠を関連付けて判断を記録します。証明書や実際の顧客検査記録ではありません。
項目事前に決める内容避けたい不備
設計要求版、注記、規格、正式なデータ旧版図面での検査
サンプル数量、識別、工程、最終状態処理前の品を最終合格として報告
証拠バルーン番号、測定値、証明書、試験要求との対応が追えないファイル
判断承認者、停止点、次工程への移行条件提出だけで継続可能と判断
03

予定工程を代表するサンプルを選びます

製造工程の確認が目的であれば、サンプルは合意した材料、加工方法、仕上げ工程を反映する必要があります。寸法を合わせるためだけの特別な単品加工では、繰返し生産を代表できない場合があります。サンプル数、個体の識別方法、材料ロット、熱処理・めっき・アルマイト後の状態を明確にします。組立や処理後に測れなくなる特性は、適切な段階で証拠を残す計画が必要です。破壊試験があれば追加数量と時間も考慮します。FAIのサンプル数を通常のロット抜取検査表から自動的に決めないでください。目的が異なるためです。

04

バルーン図、検査表、証拠を対応させます

確認しやすい書類は、各特性をどこで、どの方法で検証し、結果がどの記録にあるかを示します。バルーン番号は目立つ寸法だけでなく、適用される注記を含めた要求に結び付けます。複数の穴や複数サンプルでは、特性位置と個体を区別して記入間違いを防ぎます。単位、処理前後の状態、評価する量も要求と一致させます。例えば、穴中心の座標だけでは、指定データムに対する位置度結果の代わりになりません。枠付きの理論的に正確な寸法や基本寸法に、独自のプラスマイナス公差を与えないでください。判定基準が不足している箇所は結論を出す前に確認します。

測定データ

要求に従い実測値を記録します。呼び寸法を実測値として入力したり、外観写真を寸法の証拠の代わりにしたりしません。

付属書類

材質、状態、ロット、処理範囲を対象サンプルと照合します。ファイル名が正しくても、対象範囲が違えば十分な証拠にはなりません。

05

承認待ちと不適合時の扱いを決めます

量産や出荷前のサンプル承認が必要なら、承認権限者、回答方法、待機する工程を見積依頼で明確にします。メール送信、書類のアップロード、受領確認だけで技術承認になったとは判断できません。逸脱がある場合は、特性、実際の結果、影響範囲、提案する処置を記録します。不合格を合格に見せるために設計要求を変更してはいけません。特別採用などの承認は、対象サンプル、ロット、有効期間など範囲を明確にし、その後の注文へ無断で適用しません。適合性の評価と次工程への移行を誰が判断するか、文書で定めます。

06

変更時は再確認の範囲を評価します

図面改訂、材料変更、処理先の変更、加工方法の変更によって、以前の証拠がそのまま使えなくなる場合があります。過去の書類を再利用する前に、新しい要求を、評価済みの構成と工程に照らして確認します。全面的な再検査か部分的な確認かは、契約規格、顧客要求、変更の影響によって決まります。すべての工具交換で全面FAIが必要とは限りませんが、部品名が同じことを理由に大きな工程変更を無視することもできません。追加書類には、参照する基準、変更内容、補足証拠を示し、どの結果が引き続き有効かを確認できるようにします。

07

費用と提出日程を決める見積依頼項目

管理された設計データ、FAI要求、必要な規格と版、顧客様式、サンプル数、書類の言語、希望承認日をお送りください。証明書、外部試験、署名、提出先も指定します。サンプル価格に、測定プログラム、注記確認、破壊試験、書類修正の工数が含まれるかを合意します。納期計画には専門処理と顧客側の確認時間も織り込みます。VietTechは図面に基づいて加工と検査の範囲を検討し、専門的な熱処理・表面処理は協力先と連携します。確認済みの範囲を超える要求は、対応を約束する前に明確にします。

08

参考資料と本記事の範囲

2026年10月17日に確認したIAQGの資料は、9102によるFAIの標準化の目的を説明しています。SAEは2023年6月改訂のAS9102Cを掲載しています。本記事は実務的な見積条件の整理を目的としており、規格様式の転載や、未評価の注文への適合宣言ではありません。ここで示した活動は、適用要求に組み込まれた範囲で納入義務になります。FAIは特定の時点と範囲について証拠を示すものであり、将来の全製品の合格を保証せず、工程内検査や最終検査に代わるものでもありません。

関連ページ

CNC見積依頼の2D図面と3Dモデル:相違時はどちらを優先するか ↗CNC見積依頼の材料証明書:MTC・CoC・ロットトレーサビリティ ↗CNC加工のCp・Cpk・Pp・Ppk:正しい読み方 ↗加工見積りに必要な情報 ↗IAQG — 9102の適用範囲 ↗SAE — AS9102C、2023年6月改訂 ↗

FAQ

よくあるご質問

すべてのCNC注文にAS9102が必要ですか。

いいえ。契約や関連仕様で要求される場合に適用します。版と範囲を確認してください。

FAIサンプルが合格すればCpkも合格ですか。

いいえ。FAIと統計的工程能力調査では、目的、データ構成、判定基準が異なります。

表面処理前に検査してもよいですか。

適切な段階で特性を確認できますが、最終受入書類は合意した完成状態と要求を網羅する必要があります。

書類を提出したら生産を続けてよいですか。

承認待ちの条件がある場合は、合意した承認を得てください。受領確認は承認の代わりになりません。

図面改訂後も以前の報告書を使えますか。

影響評価が必要です。許可される場合は影響のない証拠を参照できますが、変更箇所には適切な検証が必要です。

見積依頼ガイド

初品検査の要求を見積依頼に添えてください

図面、サンプル数、検査要求、様式、証明書、承認待ちの条件をお送りください。対応範囲、費用、書類提出までの日程を確認します。見積依頼 ↗