熱処理

真空焼入れと高周波焼入れの違い|機械部品にはどちらを選ぶべきか

硬化範囲、芯部特性、変形、表面状態、仕上げ加工から真空焼入れと高周波焼入れを比較します。

熱処理VIETTECH · TECHNICAL RESOURCES
01

目的が異なる二つの焼入れ

真空焼入れと高周波焼入れはいずれも鋼の硬さと耐摩耗性を高めますが、処理範囲が異なります。真空焼入れは低圧の管理雰囲気で部品全体を加熱し、適切な方法で冷却します。高周波焼入れは電磁誘導で選択した表面を急速加熱し、硬化層と比較的靭性のある芯部を作ります。

真空炉と高周波コイルによる焼入れの2D比較図
真空焼入れは部品全体、高周波焼入れは選択した表面層を対象とします。
  • 真空焼入れ:部品全体を処理
  • 高周波焼入れ:軸受部、摺動面、歯部などを選択硬化
  • 材質、目標硬さ、焼戻し条件を明確にする
  • 処理名だけでは仕様として不十分
02

真空焼入れの仕組み

真空または保護ガス中で加熱し、ガスなど材質と設備に適した媒体で冷却します。大気中加熱に比べて酸化や脱炭を抑えやすく、工具鋼、金型、清浄な表面が必要な精密部品に検討されます。ただし変形がゼロになるわけではなく、断面差、積載、支持、温度、冷却速度が結果に影響します。

03

高周波焼入れの仕組み

コイルの交流電流が電磁場を作り、鋼の表面層を急速に加熱します。その後の冷却で表面を硬化し、芯部への影響を抑えます。シャフト、ピン、歯車、転動面などで耐摩耗性と接触疲労強度を高めながら芯部の靭性を保つ用途があります。コイル形状、隙間、周波数、出力、加熱時間、冷却条件が硬化深さと均一性を左右します。

04

選定の目安

最終HRCだけでなく、機能する範囲から選定します。

  • 断面全体に比較的均一な硬さが必要:真空焼入れを検討
  • 作動する表面だけを硬化:高周波焼入れを検討
  • 酸化を抑え清浄な表面が必要:真空処理が有利
  • 軸径、肩、歯形に沿った硬化層が必要:高周波で選択処理
  • 薄肉、非対称、急な断面変化:変形リスクを個別評価
05

表面硬さだけでは検査できない

同じ表面HRCでも、硬化深さ、芯部硬さ、遷移部、金属組織、残留応力は異なる場合があります。表面機能が重要な場合、図面に測定位置、尺度、測定点、必要な有効硬化層深さを示します。全体焼入れでは焼戻し後硬さと測定位置を定義します。

06

変形と仕上げ代

熱処理による組織・体積変化で、曲がり、真円度、平面度、位置が変化する場合があります。処理前に仕上げ代を残す面、処理後の基準、研削またはワイヤ放電で仕上げる箇所を決めます。共通の仕上げ代はなく、寸法、鋼種、形状、最終硬さ、予想変形量から設定します。

07

一般的な工程順

粗加工、必要に応じた応力除去、半仕上げ、焼入れ、焼戻し、機能面の研削・仕上げ加工という工程を検討します。高周波焼入れでは硬化範囲と非硬化範囲を明示します。真空焼入れでは積載方向と支持方法も熱処理会社と確認します。

08

見積依頼チェックリスト

明確な情報により工程、変形、検査を適切に評価できます。

  • 材質記号、規格、素材状態
  • 改訂管理された2D図面と、提供可能な場合は3Dデータ
  • 熱処理方法または機能目的
  • 目標硬さ、測定位置、尺度
  • 高周波焼入れ範囲と硬化層深さ
  • 研削代、処理後公差、面粗さ
  • 証明書、組織検査、硬さ記録の要否
  • 数量と希望納期
09

VietTechの対応範囲

VietTechは図面に基づくCNC加工、研削、ワイヤ放電、測定を行います。真空焼入れと高周波焼入れは適切な専門協力会社と連携します。熱処理前後の工程、仕上げ代、検査計画を検討し、材質、寸法、硬化範囲、公差、数量を確認して対応可否を回答します。

関連ページ

窒化と浸炭の違い ↗熱処理後の精密研削 ↗S45CとSCM440 ↗

FAQ

よくあるご質問

真空焼入れは変形しませんか?

変形はゼロではありません。材質、形状、残留応力、積載、冷却条件に左右されます。

高周波焼入れは芯部まで硬くなりますか?

一般には硬い表面層と比較的靭性のある芯部を狙います。結果は材質と処理条件によります。

HRCだけを指定すれば十分ですか?

表面硬化では、硬化範囲、測定位置、有効硬化層深さも必要な場合があります。

処理後に研削が必要ですか?

寸法、真円度、平面度、面粗さが厳しい機能面では必要になる場合があります。

VietTech社内で熱処理しますか?

いいえ。専門協力会社と連携し、前後の加工と検査を計画します。

熱処理

熱処理工程をご相談ください

図面、材質、数量、硬化範囲、目標硬さ、処理後公差をお送りください。加工工程と熱処理連携を検討します。見積依頼 ↗